無辜の向こう

 融解後の塔はすっかり色が抜け、床を踏みしめれば足元から細かな粒子が舞い上がる。粒子はよくよく見れば小さな0と1で出来ていた。今にも崩れそうな壁、カビに埋もれたオブジェクト、うごめく電光色の何か。たださらさらと粒子の流れ …

今日もいちにち

 定例のバッチ処理が終わり、わたしたちはまた机に向かい合う。あるいは受付に立ち、あるいは給湯室にこもり、あるいは廊下で同じ会話をくりかえす。今日もいちにち、お仕事、おしごと。特に意味のない書類を作っては束ねてシュレッダー …

熱を出した日

「メリーティカ、解熱剤って飲ませる方がいいのかな」「袋に説明が書いてあるわ」「あ、ありがとう……えーと……」「大丈夫よクレヨン、今だけだから」  どこか遠くから聞こえる声と歩き回る気配、ごうごうと耳元に聞こえるのは自分の …